Why Minamo?

私は静岡県湖西市で育ちました。
家の前には浜名湖があり、その景色は幼い頃から当たり前のように日常の一部でした。
穏やかで澄んだ日もあれば、荒々しく濁る日もある。
同じ場所でありながら、天候や季節によってまったく異なる表情を見せるその風景を、
私は毎日のように見て育ちました。
ブランド名を決める頃の私は、自分自身に強い否定的な感情を抱えていました。
自分の存在や価値を認めることができず、自分の名前をブランド名として
掲げることにも強い抵抗がありました。
今振り返ると、それは単に自信がなかったからというだけではなく、
自分という存在そのものを受け入れられていなかったからなのかもしれません。
そんな中で試作を重ね、少しずつ形になっていく楽器を眺めていた時、あることに気付きました。
自分がこれまで経験してきたこと。
学んできたこと。
出会ってきた人たち。
そして、できれば忘れてしまいたいと思っていた失敗や苦しみ。
そのすべてが、自然と作品の中に現れているということです。
木に囲まれて育ったこと。
音楽に夢中になったこと。
楽器製作を学んだこと。
金属加工やデザインを学んだこと。
会社員として働きながら夜に楽器を作っていたこと。
それらは決して別々の出来事ではありませんでした。
気付けば、そのすべてが今のものづくりの土台になっていました。
その時、私のものづくりとは「人生そのものを投影すること」なのかもしれないと感じました。
そして思い出したのが、いつもそばにあった浜名湖の景色でした。
「Minamo」という名前は、水面を意味する言葉です。
しかし私にとってそれは、単なる風景の名前ではありません。
人生の中で出会うあらゆる経験――喜びも苦しみも、成功も失敗も、
そのすべてを受け入れ、それらをものづくりへと映し出していくことを意味しています。
この考え方は、ブランド名だけでなくロゴデザインにも反映されています。
水面に広がる波紋や揺らぎをモチーフにしたその形は、変化し続ける人生や、
人との繋がりを静かに映し出す象徴として生まれました。
そして今も、Minamo Guitarsを表す大切なシンボルであり続けています。
そうして私は、一つの経験だけで人は決まらないということを理解するようになりました。
出来事はただ存在しているだけであり、それ自体に善悪があるわけではありません。
そして、それらを否定するのではなく、自分の人生の一部として受け入れた時、
初めて自分自身のことも受け入れられるようになった気がします。
水面は常に姿を変え続けます。
穏やかな日もあれば、荒れる日もある。
澄んでいる日もあれば、濁る日もある。
けれど、そのどれもが同じ水面です。
Minamo Guitarsは、人生の中で出会うあらゆる経験を受け入れ、
それをものづくりへと映し出していきます。
この考え方は、今も私のものづくりの中心にあります。
流行や正解を追い求めるのではなく、
自分の中から自然と生まれてくる考えや感覚を形にしていくこと。
それが私にとっての楽器作りです。
Minamo Guitarsは、単なるブランドではありません。
それは、生きて、経験し、受け入れてきた人生を、
ものづくりを通して、水面のように映し出し続けるものです。
Shunya Miyazaki
